「金融法務事情」に論稿が掲載されました
2024年11月26日
平山賢太郎弁護士による論稿「フリーランス法の実務対応 取引条件明示(3条通知)における留意点」が、金融法務事情2024年11月25日号に掲載されました。
(生成AIによる要約)
フリーランス法特集: 3条通知の留意点
概要
- フリーランス法(特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律)は、フリーランスに対する業務委託において、発注者に取引条件の明示を義務付けるものです。この「3条通知」は、トラブル防止を目的としており、全ての発注者に一律で適用されます。本稿では、その概要、具体的な義務内容、実務上の留意点について詳しく解説しています。
1. フリーランス法と3条通知の趣旨
- フリーランスとの取引において条件が明示されないケースが多く、これがトラブルの要因になっていた。
- 3条通知の目的: 報酬額や業務内容などを明確化し、認識の齟齬を防止すること。
- 発注者には、業務委託を行った場合、書面または電磁的方法による速やかな条件明示が義務付けられている。
2. 明示すべき事項
- 発注者・受注者の名称。
- 発注日。
- 業務内容(役務の内容、納期、提供場所)。
- 報酬額および支払期日。
- 検査完了日(必要な場合)。
- 再委託に関する情報(再委託の場合のみ)。
実務上の注意点
- 条件が確定していない場合でも、予定日や見込みを明示する必要がある。
- 知的財産権の譲渡や許諾に関する内容は、業務内容の一部として明記しなければならない。
- 再委託の特例: 再委託の場合は、元委託者の情報や支払期日を明示することで、支払い条件が緩和される。
3. 実務上の対応策
(1) 通知の方法
- 書面または電磁的方法が許容される。
- 電磁的方法: 電子メール、チャット、USBメモリによる送付など。
- 電磁的方法は手軽であるが、保存や確認のための対策(例: スクリーンショット保存)が必要。
- 書面での交付を求められた場合、対応が求められる。
(2) 契約書の活用
- 契約書を3条通知として活用することが可能。
- 共通事項を事前に明示することで、個別の業務ごとに簡便化できる。
(3) 施行前後の取扱い
- フリーランス法の施行日前に成立した契約には遡及しない。
- ただし、契約が施行後に更新された場合は通知が必要。
4. 下請法との違い
- 下請法の「3条書面」と似ているが、以下の点で異なる:
- ペンネームやハンドルネーム: フリーランス法では許容される。
- デジタル払い: フリーランス法では認められている。
- 両法が適用される場合、フリーランス法に従った「3条通知兼3条書面」を作成することが望ましい。
5. コンプライアンス推進の重要性
- フリーランス法は発注者の手続の厳格化を求めるが、これを契機にフリーランスとの公正な関係構築を進めるべき。
- 口頭での発注や曖昧な条件提示の慣行を改め、明確な取引条件の提示を徹底する必要がある。
- 社内での手続統一や教育を通じて、取引の透明性と公平性を向上させる。
結論
- フリーランス法に基づく3条通知は、発注者にとって手続の負担を伴うが、透明性の向上とトラブル防止に寄与します。法務・コンプライアンス部門は、業務委託に関するプロセスを整備し、フリーランスとの信頼関係を強化することが求められます。
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