財務総合政策研究所 において講演を行いました
2024年12月23日
平山賢太郎弁護士が、財務総合政策研究所の「外部有識者等による研究所内講演会」において、EUデジタル競争法によるデジタル・プラットフォーム規制について講演を行いました。
(生成AIによる要約)
EUデジタル市場法(DMA)によるデジタル・プラットフォーム規制
テーマ: 欧州におけるDMAの規制内容と日本への示唆
- DMAの概要と成立背景
- 施行: 2023年5月
- 目的: 大規模デジタルプラットフォーム(ゲートキーパー)の競争制限行為を迅速に規制。
- 背景: 従来の競争法では市場画定や支配的地位の認定に時間がかかり、迅速な是正が困難だったため、事前規制を導入。
問題意識
- 競争可能性: エコシステムが形成され、参入障壁が高まる。
- 公正性: ゲートキーパーが優越的な交渉力を持ち、不公正な条件を課すリスク。
- ゲートキーパーの指定
- 定義:
- EU市場で重要な影響力を持つ。
- コア・プラットフォームサービスを提供。
- 永続的地位を享受している、または近い将来享受すると予見される。
- 指定基準:
- 定量的基準(売上高、利用事業者数、エンドユーザー数)。
- 個別市場調査による指定。
- コア・プラットフォームサービス: オンライン仲介、検索エンジン、SNS、OS、クラウドなど。
- ゲートキーパーの義務
義務区分
- ブラックリスト(DMA第5条)
- 個人データの不当な利活用禁止。
- 価格同等性条件の禁止。
- グレーリスト(DMA第6条)
- バンドリング(自社ソフトのプリインストール強制)の禁止。
- 自己優遇行為の禁止(例: 検索結果の操作)。
- 相互運用性確保(DMA第7条)
- 個人間コミュニケーションサービスの技術インターフェース提供。
注目される義務
- データ活用: サービス間でのデータ共有の禁止。
- 透明性: 非差別的な検索結果表示。
- 遵守態勢の整備と開示
- 説明責任: ゲートキーパーが遵守状況を欧州委員会に報告。
- 監視体制: 法令遵守部門の設置、独立監査人による監査。
- ユーザー保護: 消費者プロファイリング技術の公開。
- 不遵守に対する制裁
- 暫定措置: 深刻な損害が発生する場合の緊急対応。
- 制裁金: 世界売上高の最大10%。
- 是正措置: 取引条件の変更や事業売却。
- 組織的不遵守: 8年間に3回以上の違反が確認された場合、ゲートキーパー地位の剥奪も。
- 日本への示唆
- 規制の信頼性: 規制の実効性を確保するために、事前規制と事後規制の好循環が重要。
- 対話の重要性: 欧州では「regulatory dialogue」に基づき、規制内容が企業の状況に応じて具体化される。
- 法執行の多元性: 消費者団体や利害関係者の関与を促進し、法執行の幅を広げる必要性。
- 比較法的視点: 日本の「透明化法」や「スマホソフト競争促進法」との違いに基づく規制改善の検討。
結論
- DMAは、迅速な規制と透明性向上を目的とし、デジタルプラットフォームの市場競争と公正性を確保する枠組みを提供します。日本においても、規制設計や実行の透明性向上が重要であり、欧州の経験から学べる点が多いとされています。
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